認知心理と認知言語のこと(なぐりがき)

このあいだタイトルのようなことについてお話して、個人的にあれこれ考えたので、一応残しておきます。ちなみに根拠は私の見てる範囲という大分狭い感じですので、一般的にどうこう、ということはあまり言えないと思います。

私自身はずっと認知心理・実験心理をやりながら、ずっと言語について考えてきたので、割と早い段階で認知言語学に遭遇してはいました。認知言語学の研究をもとに卒論実験をしていた先輩が結構苦労されていた記憶があります。その方も、私もなのですが、結局「心理学的な貢献が認められない(何がしたいのかわからない)」からよくない、といわれた記憶があります。普通の認知心理の方であれば、認知言語学を知らなくても別段問題ないし、まぁわかられなくてもいいのかな、程度に思ってました(ちなみに修士の頃は京大某Y研の読書会に参加してました。懐かしい)。

で、この間読んだ論文(JEP:General 実験心理学では最高峰の論文雑誌)に認知言語の理論の紹介で始まる研究が載っており、しかも認知心理の方が書かれていて、あれ、なんだか状況が変わったぞ、と感じました。認知言語の理論で認知心理学者が実験をやって、それが「心理学」の分野で評価されるようになったのだ、と。日本では、まだそこまでいかないのだろうな、と思います。
心理学の方で身体性認知(embodiment, embodied cognition)は最近ちょこちょこ出てきてはいるけど、そこに認知言語の姿はあまり見られないのです(言語を対象としている場合は除く)。
そもそも、心理学の感覚・知覚の方からしたら、全て身体ありきのお話になるので、あえて身体性を持ち出してくる必要がなくて、身体性を持ち出してくる積極的な意味を、わからないでいるのではないか、と考えたりもします。

私自身も今まで「なんで身体性って大事なんだろう」と考えてきましたが、最近「言語学における統語/認知言語という対立する枠組みがないと、積極的な意味は見いだせないのではないか」と思うようになりました。心理では言語学における統語的な役割を持つ情報処理的アプローチと身体性とはあまり対立する感じではありません(少なくとも私にはそう見えない)。

心理学は元々がたくさんの分野を持つ学問なので、全ての分野を知るのは難しく、それゆえ自分の分野・周辺分野にとどまってしまうことが多いのかもしれません。言語学の方々は(私が見てきた範囲では)ご自身の専門以外に言語学・語学全体のことに関してきちんと知識を持っていらっしゃるように感じられます。なので、心理学でも「情報処理的アプローチでガチガチにやっているところと、身体性認知の話を知っている」ことで、それぞれの有用性がわかるのかもしれません。

ちょっと脱線しましたが、実験(認知)心理学は「ヒトの行動・反応をはかること」に関しては他の追随を許さない(と私は信じています)ので、認知言語との接点だけではなく、他の分野との接点をもっと持てばよいのでは、と思います。理論物理と実験物理の関係にはほど遠いですけど、そんな関係性に他の学問となれたら素晴らしいですね。

もちろん、どの程度お互いの分野のことを知っておけばいいのか、とか実験請け負うだけで解釈その他は丸投げにするのか、とか各分野のスタンダードの違いがある中で、論文化する場合何を基準とすればよいのか、など、コラボにはつきものの問題がたくさんありますし、私も現在進行形で悩んではいます。そんな中で、まずやってみる、というのも一つの手だと思っています。

というわけで、言語系で何か実験をお考えの方がいらっしゃいましたら、ご相談下さい。もうちょっとたくさん人が来る環境ならなお良いんですけども、前職場と比較してはいけませんね。

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